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ねじのお役立ち情報
真鍮製インサートナット置き換えの可能性~細い下穴径で使える鉄製インサートナットの可能性
インサートナットとは
インサートナットとは、樹脂用締結ねじです。
インサートナットは、樹脂(プラスチック)などの柔らかい素材に埋め込み(インサート)、接合部の締結力を高める「締結部品」です。
真鍮製インサートナットのメリット
真鍮は「黄銅」とも呼ばれる、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金です。
・軽量
・耐食性が高い
・熱伝導率がよい
などの特性から、インサートナットの材料として多く使われています。
耐食性が高く、水や湿気、塩害に強いため錆や腐食を防ぎます。
水回りや屋外での使用にも適しています。
熱伝導率が高く、ヒートメルトや超音波溶接で、容易に樹脂にインサートできます。
短時間で温めることができるため、加工時間が短くなります。
インサートナットの製造は、すべての工程を切削加工で行います。
このためナット形状の自由度が高く、複雑な外形形状にも対応しやすい特徴があります。
真鍮製インサートナットのデメリット
・材料自体のコストが高い
鋼鉄に比べて、素材自体の価格差は約7倍です。
・熱伝導性が高いので、熱によって膨張・収縮しやすい
過度な膨張や収縮は、ねじのゆるみなどのトラブルにつながる可能性があります。
温度変化が大きい場所での使用には適しません。
・ねじ自体の強度が弱い
鋼鉄に比べて強度が低く、高い応力がかかる用途や強い締付けを必要とする箇所には
適しません。
・RoHS指令などの規制対応が必要
RoHS指令において、真鍮に含まれる鉛は特定の条件を満たせば適用除外となります。
(期限付き)
近年は、カドミレス材などのRoHS指令基準値に対応した合金材もあります。
鉄製インサートナットによる置き換えの可能性
鉄製インサートナットへの置き換えに伴うメリットは次が挙げられます。
・材料価格のバラツキが少ない
材料費だけで比較すると、約1/7のコスト
・熱膨張によるゆるみが起きにくい
熱伝導率は真鍮に比べると低く、温度変化の激しい箇所でも使用できます。
・RoHS指令対応は必要なし
・一般的な鉄製インサートナットの製造方法は圧造加工
製造スピードが速いので、大量生産に向いた製造方法
加工硬化により、ファイバーフローが切断されずに、ねじ本体の強度がアップ
鉄製インサートナット(圧造加工)に置き換えるためには、次の条件が必要です。
・切削加工で製造したナット肉厚と同等のナット肉厚の確保
当社開発品のSSDSナットは、真鍮製インサートナット並みの片側肉厚1㎜を確保
・切削加工では不要な金型費の初期費用の検討
当社開発品のSSDSナットは、オリジナル開発品なので、金型費不要
真鍮製インサートナットの置き換えをご検討の方に、お役立ていただける情報は
こちらからご覧ください。
【小スペースに使える薄肉型鉄製インサートナット SSDSナット】を見る
インサートナットの使い方や樹脂の締結についてのご相談にも対応いたします。
評価や試験など技術的なご相談も可能です。